一般的に退職金は勤続年数と比例して支給されることが多いです。勤続年数が増えることで支給される割合と支給される金額が高くなり、退職金のために転職を我慢する方も多いです。
しかし、退職金は法律上の義務ではないため、勤続年数が増えても受け取れない会社があります。
この記事では、新卒で就職した会社を2年で辞めても退職金は受け取れるのか、ということを解説します。
勤続年数2年での計算方法や、新卒2年でも転職すべき理由を併せてご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
転職もしたいけど、退職金も受け取りたんだよね。
今回は退職金と転職、どっちを優先すべきなのかも伝えているから、ぜひ参考にしてみて!
勤続年数2年で退職金は受け取れる?
新卒で就職した会社からの転職を考えている方は「勤続年数2年でも退職金は受け取れるのかな?」と気になると思います。
法律上、退職金制度を導入する義務はありませんが、勤続年数2年でも受け取れることがあります。
厚生労働省の就労条件総合調査では、勤続年数2年でも約18%の会社で退職金を受け取ることが可能です。勤続年数2年以上3年未満も含むと、約28%の割合で受け取れます。
この数字は自己都合(転職)で退職した場合の割合です。
また、中央労働委員会の賃金事情等総合調査では、勤続年数2年未満で約30%、3年未満で約46%まで上昇します。つまり、会社によっては勤続年数2年でも退職金を受け取ることが可能です。
退職金を理由に転職を先延ばしにすることはおすすめしないです!
1年未満では受け取れないことが多い
勤続年数2年以上の方であれば退職金を受け取れることがありますが、1年未満では難しいです。
就労条件総合調査では3.2%、賃金事情等総合調査では5.4%と発表されています。つまり、1年以上働き、2年目に突入することで支給率は高くなります。
また、退職金の金額は勤続年数と比例するため、1年未満では数万円程度しか受け取れません。就職して2年、3年と勤続年数が増えることで金額も大きくなります。
退職金は新卒で就職していても、中途採用で就職していても、その会社の勤続年数で支給有無が決まります。
勤続年数2年でも退職金は受け取れることがあるんだ!
全ての会社で受け取れるわけではないけど、企業によっては受け取れることもあると思うよ!
勤続年数2年で受け取れる退職金の計算方法
勤続年数2年でも退職金を受け取れる場合、次に気になるのは金額だと思います。ここでは、勤続年数2年で受けと取れる退職金の計算方法を4つご紹介します。
「金額によって転職するか決める」という方は、以下の計算方法を参考にしてみてください。
①定額制
退職金の計算方法として最も取り入れられているのは、定額制です。
定額制とは、基本給や会社に対する貢献度などは関係なく、勤続年数のみに連動して支給金額を決める方法になります。
例えば、勤続年数2年の場合は10万円、3年で13万円、4年で20万円のように勤続年数と比例して金額も少しずつ増えていきます。
定額制は勤続年数だけで金額が決まるため、従業員側でも計算しやすくなっています。
会社によっては1日単位で金額が増えます!
②基本給連動型
基本給連携型とは、退職時の基本給と勤続年数・退職理由を連動させ、退職金の金額を計算します。
この計算方法を取り入れている会社も多く、給与比例制退職金とも言われます。一般的には以下の計算式で退職金が決まります。
退職時の基本給×勤続年数×退職理由に基づく削減率
基本給連携型では、基本給によって金額が大きく変わる特徴があり、定額制よりも高額になりやすいです。
③ポイント制
退職金の計算方法として取り入れられるポイント制とは、勤続年数や職能、職務等級、役職などの評価要素をポイント化して、そのポイントを一定期間毎に従業員に付与する仕組みです。
退職時にそれまで付与されたポイントに対して、単価が乗じて退職金が決まります。
ポイント制を取り入れている会社においては、会社に貢献した従業員が高額の退職金を受け取れるようになっています。
ポイントの対象となる要素やポイントに対する単価は会社によってさまざまです。
④別テーブル制
別テーブル制とは、勤続年数に応じた基準額と役職係数、退職理由などを定めたテーブル(表)を作成して、それに応じて退職金を計算する方法です。
基本給とは関係なく、勤続年数や役職に応じて退職金が決まることが特徴です。
別テーブル制はポイント制と同様に、会社に貢献した従業員が多額の退職金を受け取れるような仕組みになっています。
最近は、基本給連動型から別テーブル制に移行する会社が増えているようです。
自社がどの計算方法を取り入れているかは確認できる?
会社の就業規則や賃金規則に書かれていることが多いよ!
初めて退職金を受け取る際の注意点
新卒で就職した会社を2年で退職する場合、初めて退職金を受け取ることになると思います。初めて退職金を受け取る際の注意点をいくつかご紹介します。
退職金には税金がかかる
退職金は会社から労働者が得る収入に含まれるため、給与のように税金がかかります。
所得税・住民税・復興特別所得税の3つの税金がかかり、課税方法は受け取り方によって異なります。
勤続年数2年で退職した場合は、一時金として一括で受け取るケースが多いです。その場合は分離課税になるため、退職所得として他の所得と分けて課税されます。
退職金に関する課税制度は少し複雑になるため、悩まれる方は会社の人事総務担当者に相談してみてください。
退職金にも税金がかかることだけは、把握しておくべきです!
業績により受け取れる金額が変わる
退職金の支払いは法律で決められた義務ではないため、会社の業績により受け取れる金額が変わることがあります。
会社の業績が良くても退職金が増えることは考えにくいですが、業績が悪い場合は減る可能性があります。
業績悪化に合わせて、退職金制度自体を変更する会社もあります。
退職金を受け取る従業員側としては「話が違う」と感じるかもしれませんが、退職金制度の変更が認められるケースが少なくありません。
会社の業績悪化を理由に転職を検討されている場合は、早いうちに転職を決めて退職金を受け取るようにしてください。
退職したタイミングで受け取れない
退職金は退職したタイミングで支給されると思われる方が多いのですが、一般的に振り込まれるのは1~2カ月後です。
退職金制度の内容や退職時の状況によっては時間がかかる場合があり、退職から3カ月以上経ってから振り込まれる会社もあります。
そのため退職金が支払われることを想定し、お金を使わないように注意してください。
また、退職金制度は法律で決まっているわけではないため、支払いを催促することは難しいです。
勤続年数2年でも退職金を受け取れる場合は「いつ振り込まれるのか」ということも確認するようにしてください。
本来の支払い期限が過ぎた場合は、会社の担当部署に確認してください!
退職金制度のない会社もある
ここまでお伝えした通り、退職金は全ての会社で設けられている制度ではありません。
「退職金」という言葉は一般化しているため、受け取れるものとして認識している方が多いですが、まずは確認するように注意してください。
特に、勤続年数2年の場合は退職金の支給対象になっていないことがあります。
退職金制度を設けている会社でも勤続年数2年では受け取れないことがあるので、その点も踏まえてしっかりと確認することが大切です。
退職金で生活しながら、転職することは難しい?
転職先はいつ決まるか分からないから、退職金が受け取れる場合でも会社は辞めないことがおすすめだね!
転職は勤続年数3年まで我慢すべき?
勤続年数2年では約30%の会社でしか退職金が支給されません。
勤続年数が3年を超えると退職金が支給される割合が高くなるため、転職は勤続年数3年が経過するまで我慢すべきか悩まれる方は多いです。
しかし、退職金のために転職を我慢することはおすすめしません。
勤続年数が3年を経過しても約50%の会社でしか支給されず、転職したい気持ちの我慢は仕事にもプライベートにもプラスの影響は与えません。
転職することで給料が高くなったり、仕事に対するストレスが軽減されるため、退職金のために我慢しないようにしてください。
2年では退職金が受け取れなくても転職すべき?
基本的には転職がおすすめ!
今から勤続年数2年でも転職をおすすめする理由を伝えるね!
勤続年数2年での転職をおすすめする理由
勤続年数2年での転職をおすすめする理由としては、以下の4つが挙げられます。
それぞれの理由について詳しくご紹介するので、転職を悩まれている方は参考にしてみてください。
退職金はそれほど増えない
勤続年数が2年を超えて3年以上になると、退職金を受け取れる割合は増えます。
しかし、受け取れる金額自体はそれほど増えません。基本的に退職金は勤続年数と基本給から計算されます。
2年目と3年目では基本給にそれほど変わりはなく、勤続年数自体も1年だけです。
つまり、勤続年数3年になるまで我慢しても満足できる退職金は受け取れない可能性が高いです。
2年でも3年でも退職金を受け取れる場合は、どの程度の差があるのか計算してみてください。
勤続年数3年でも退職金を受け取れない会社はあるので注意してください!
転職難易度が高くなる
勤続年数2年での転職をおすすめする理由としては、転職難易度が高くなることが挙げられます。
退職金を優先して勤続年数3年まで我慢することで、年齢を1つ重ねて社会人経験も1年増えることになります。その場合は、中途採用でも会社が求めるレベルが高くなり、希望通り転職することが難しいです。
「たかが一年」と思われるかもしれませんが、転職市場において1年は大きな差になります。
また、新卒で就職した会社を3年経過すると、第二新卒として扱わない会社が増えます。
3年未満の社会人を第二新卒として扱う会社が多いので、その点からも勤続年数2年での転職がおすすめです。
プライベートが充実する
勤続年数3年になるまで我慢せず転職することで、プライベートが充実します。
転職を考えることには「職場でストレスを感じる」「給料が少ない」「上司との関係が良くない」など、さまざまな理由があると思います。
その点を我慢しながら働き続けることは、プライベートにもマイナスの影響を与えます。
転職することで抱えている悩み・ストレスは簡単に解決できます。
また、転職を決意することで、今の会社に対する悩みやストレスが軽減されます。プライベートの充実を優先することが大切なので、心身ともに無理はしないようにしてください。
精神的な負担が大きい場合は、退職金など気にせず転職することがおすすめです。
転職を引き止められにくい
勤続年数2年での転職をおすすめする最後の理由は、「転職を引き止められにくい」ということです。
勤続年数が増えることでその会社には欠かせない人材となり、任せられる仕事量や部下の存在などからなかなか転職できない環境となります。
転職したい旨を伝えても、上司や役員から転職を引き止められるケースも少なくありません。
そのままズルズルと今の会社に在籍することになる可能性があるため、勤続年数2年での転職がおすすめです。勤続年数2年での転職であれば強く引き止められることなく、スムーズに転職できます。
退職金の金額自体はそれほど変わらないのか。
転職すれば、その差額を補えるほどの給料アップも考えられるね!
第二新卒におすすめの転職エージェント5選
第二新卒からの転職を成功させるには、第二新卒向けの転職エージェントを活用すべきです。
総合型と比較して取り扱っている求人やサポート体制に違いがあり、第二新卒として転職成功率を高められます。
ここでは、第二新卒向けのおすすめ転職エージェントを厳選して5つご紹介します。
相性の良い転職エージェントを見つけるためにも、複数登録を視野に入れながら参考にしてみてください。
【マイナビが手掛ける転職エージェント】マイナビジョブ20’s
マイナビジョブ20’sは、大手人材紹介会社であるマイナビが手掛ける第二新卒・既卒に特化した転職エージェントです。
マイナビグループで培った転職ノウハウをもとに転職サポートが提供されていて、サポートの質はトップクラスになります。
また、マイナビジョブ20’sは無料で受けられる適性診断がかなり定評です。自分と仕事の関わり方を整理・考え直すことに役立たせることができ、転職活動の悩み解決につなげられます。
適性診断を受けるためにマイナビジョブ20’sに登録する方も多いようです。
対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京・神奈川・大阪・兵庫・愛知・福岡 |
サポート方法 | 対面・オンライン |
運営会社 | 株式会社マイナビワークス |
公式サイト | マイナビジョブ20's |
【完全未経験でも転職できる】ハタラクティブ
ハタラクティブは、社会人経験の浅い20代に特化した転職エージェントです。
社会人経験のない既卒の利用者も多く、取り扱っている求人の80%以上が未経験でも応募できます。
完全未経験の業界・職種へ転職しやすく、新しい仕事にチャレンジしたい第二新卒におすすめです。
また、ハタラクティブはさまざまな業界・職種の求人を取り扱っています。そのため転職したい業界・職種が定まっていない段階でも登録できます。
担当アドバイザーはカウンセリング力に長けているので、転職における方向性を示してもらうことも可能です。
対応地域 | 全国(一部地域を除く) |
拠点 | 東京・神奈川・愛知・大阪・福岡 |
サポート方法 | 対面・オンライン・LINE |
運営会社 | レバレジーズ株式会社 |
公式サイト | ハタラクティブ |
【一都三県の転職だけを徹底サポート】第二新卒の窓口
第二新卒の窓口は、第二新卒・既卒に特化した転職エージェントで、東京・神奈川・埼玉・千葉の一都三県への転職だけを徹底サポートしています。
一都三県の求人しか取り扱っていないのですが、求人数は1万件を超えていて、転職市場を熟知した担当アドバイザーが厳選して求人を紹介してくれます。
また、第二新卒の窓口を運営しているオネスティ株式会社は、保険・金融業界に特化した転職エージェントも手掛けています。
そのため保険・金融業界への転職を成功させるノウハウを持っていて、転職成功率を高められます。
対応地域 | 一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉) |
拠点 | 東京都 |
サポート方法 | 対面・オンライン |
運営会社 | オネスティ株式会社 |
公式サイト | 第二新卒の窓口 |
【厳選した求人紹介でミスマッチを防ぐ】Onfleek Agent
Onfleek Agentは、20代の転職支援に特化した転職エージェントです。
Onfleek Agentは転職サポートの中でも求人紹介に定評があり、本当にマッチした求人だけを厳選して紹介してもらえます。
1つ1つの求人ごとに詳しい説明やリアルな社風を教えてもらうことができ、疑問・不安を払拭した状態で応募に進むことができます。
また、選考後のフィードバックを受けることができ、その内容をもとに選考対策を実施してもらえます。そのため不採用になっても次なる選考に向けて成長することが可能です。
対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京都 |
サポート方法 | オンライン・対面・ライン |
運営会社 | 株式会社Onfleek Agent |
公式サイト | 【Onfleek Agent】 |
転職での退職金に関するQ&A
最後に転職による退職で受け取る退職金について、よくある質問をQ&A形式でご紹介します。
退職金制度はどこで確認できますか?
退職金制度については就業規則や賃金規則で確認できます。就業規則の中でも「退職規定」の中に支払日や支払われる金額など、退職金の詳細が記載されています。
もし、確認できなかった場合は、人事総務担当者に聞いてみてください。
転職で退職する場合、金額は減りますか?
転職での退職は「自己都合」という扱いになり、会社の退職金制度によっては金額が減ります。
退職金制度の中に「自己都合退職の際は減額」などと記載されている場合は、少なからず減額されます。
また、自己都合退職の場合は退職金を支払わない会社もあるので、その点も踏まえて確認することが大切です。
転職よりも退職金を優先すべきですか?
基本的には退職金よりも転職を優先すべきです。勤続年数2年から3年に増えても受け取れる金額はそれほど変わりませんし、100%受け取れるわけでもありません。
転職したい気持ちを抑えることは、仕事にもプライベートにも良い影響を与えないので、退職金を優先することはおすすめしないです。
退職金が振り込まれない場合は?
退職金が振り込まれない場合は、会社の人事総務担当に問い合わせてください。
ただし、まずは振り込まれる日を確認することが大切です。退職金は退職するタイミングではなく1~2カ月後、遅い場合には3ヶ月以上経ってから振り込まれます。
振り込まれるタイミングは会社によって異なるので、事前に確認するようにしてください。
勤続年数2年でも退職金は受け取れる|まとめ
この記事では、勤続年数2年でも退職金は受け取れるのか、ということをお伝えしました。
会社によっては勤続年数2年でも退職金を受け取ることができ、その割合は20~40%です。
勤続年数3年を超えると支給する会社は50%以上になりますが、退職金の金額自体はそれほど増えません。
そのため退職金を優先して転職を我慢することはおすすめしないです。「第二新卒」の扱いを3年未満としている会社も多いので、勤続年数2年でも転職すべきです。
勤続年数2年での転職を検討されている方は、今回の内容をお役立てください。
転職したい気持ちが強いから、退職金の有無は気にせず転職活動を始める!
働きながら転職活動を進めるためにも、第二新卒向けの転職エージェントを活用してみて!